2023/07/24 ブログ
虫歯は感染症
「幼少期に虫歯が少ないと、大人になっても虫歯になりにくい」
「家族に虫歯が多いと、子供も虫歯になりやすい」などといった話を耳にしたことはありませんか?
感染症と言えば、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、エイズetc.を思い浮かべますが、虫歯も感染症のひとつであることはあまり知られていません。
そして虫歯菌は、一度感染してしまうと完全に除去することは出来ません。
あまりピンと来ないかもしれませんが、虫歯が感染症だということは極論、「感染しなければ虫歯にならない」のです。
虫歯は一般に唾液を介して感染することが広く知られています。
では、虫歯というのは一体いつどこで誰から感染するのでしょうか?
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赤ちゃんには虫歯菌が存在しない
ヒトは生まれたばかりの赤ちゃん頃、お口の中に虫歯菌は存在しません。
では赤ちゃんに虫歯菌を伝染させるのは、いつ誰でしょうか。
1994年予防歯科先進国スウェーデンで、定期的にお母さんのお口の中をクリーニングすることで、赤ちゃんの虫歯菌の感染を減らせるのではないかという研究が実施されました。
その結果、お母さんのお口の中を定期的にクリーニングするだけで、子供たちの虫歯の本数が劇的に減少したことが報告されたのです。
そして、別の論文では3歳前後までに虫歯が少ない子供は、その後も虫歯になりにくかったという研究報告もあります。
これらの研究からも分かるように、身近な大人から感染してしまうのが虫歯です。
育児をするうえで大人から子供への感染の機会が最も高まるのは、離乳食がスタートする時期と言われています。
この時期に口移し、同じスプーンや箸などを使って食べさせたりする過程で、食べ物や飲み物と一緒に虫歯菌が伝染してしまうのです。
いわゆる「経口感染」です。
しかし、実際には食器類を一緒にしないように…など、いくら気を付けていてもそう簡単にクリア出来ることではありません。
そしてもちろん感染させる大人はお母さんだけの話ではありません。
お父さんやおじいちゃん、おばあちゃん、お子様を見守る周囲の大人からの感染を出来るだけ防ぎたいものです。
永久歯に生え変わったら虫歯菌は?
お子さんに虫歯が多くても永久歯に生え変わるから…と思われている方も少なくありません。
確かに大人の歯が生えてくるときはキレイな歯が生えてきます。
ですが、一度虫歯菌に感染してしまうと口腔内の虫歯菌は定着しているので、生涯カリエスリスクの高い状態は変わりません。
やはり子供のころのケアは、虫歯を減らす大切な第一歩だということが分かります。
ですが、日常生活をするうえで虫歯菌に感染しないことはほぼ不可能なことで、誰でもお口の中には約900種類の常在菌が存在すると言われています。
いかに虫歯にならないようにコントロールするかが鍵となります。
生活習慣病とも関係する虫歯
子供の頃の感染をある程度防げたとしても、日頃のケア不足や糖分の過剰摂取などを生活習慣の乱れを繰り返してしまうと、虫歯や歯周病のリスクは格段に高くなります。
虫歯は感染症という側面を持ちつつ、生活習慣病とも密接に関係しています。
生涯を通して自分の歯で食事を楽しいたいものです。
どうしたらいいの?
日常の食生活習慣を見直してみる
・ダラダラ食いを辞める・・・食事の時間を決め、口腔内の酸性状態の時間をなるべく少なくする
・糖分の過剰摂取を控える・・・身体への負担ももちろんですが虫歯菌の餌になるので、なるべく控えましょう
日頃のブラッシング習慣を見直して口腔内をキレイに保つ
・プラークが残った状態で長時間放置しない
・お子さんのケアは、仕上げ磨きの習慣をつけましょう
定期健診でクリーニングと早期虫歯治療を心掛ける
・当院では虫歯の出来やすさ、プラークコントロールの状態などに合わせ、ひとりひとりに合ったアドバイスを心掛けています。
新しい家族を迎える準備の一つに、ぜひ家族みなさんの歯科検診を加えてみてはいかがでしょうか。