2023/08/10 ブログ
歯科素材【銀歯】
虫歯の範囲が広かったり深かったりすると、詰め物だけでは歯をカバーすることが出来ません。
一度で処置が完了する詰め物はプラスチックの一種のため、咬合力に対する強度が足りないからです。
そのため一定以上の大きさの虫歯は、型取りをして強度のある素材で修復する必要があります。
昨今、審美性に関心を持つ方が増えていて、白い材料を好まれる方が増えています。
ジルコニアやオールセラミックという言葉を耳にする機会も増えているのではないでしょうか。
合着する材料は金属素材からセラミック素材まで様々な種類があり、メリット・デメリットもそれぞれ一長一短です。
今回は保険適応でよく用いられている「銀歯」についてみていきましょう。
使用する銀歯にも種類があります!
歯科治療で用いられる金属には金合金、金銀パラジウム合金などがありますが、現在の保険適応で使用される金属、いわゆる銀歯には、金銀パラジウム合金・銀合金・純チタンの3種類があります。
歯の種類や処置内容によって使われ方に違いがありますが、最終的な歯冠修復材料としては主に金銀パラジウム合金が多く使われています。
メリット
比較的安価
銀歯の最大のメリットは保険適応される場合、安い値段で入れることが出来る点ではないでしょうか。
強度に優れる
金属はある程度の耐久性と強度を兼ね備えているため、プラスチック素材に比べるとサイズの大きい虫歯の修復が可能で、更にプラスチック素材より長持ちします。
デメリット
審美性に劣る
一番はやはり見た目ではないでしょうか。どうしても目立つため、笑う時や大きな口を開ける時などに自分の口元を気にする方は少なくありません。
メタルタトゥー
長期にわたり金属を入れたままにしておくと、金属の色が歯肉に染み込んでしまいます。そのため被せ物の周りの歯肉が不自然に黒くなってしまうのです。これは被せ物だけでなく差し歯の土台に金属が使われている場合も同様に歯肉に金属が染み込んでしまいます。
金属アレルギー
口腔内は常に温度・湿度ともにとても過酷な環境です。この環境下で少しずつ金属が劣化し腐食してくると、口腔内に金属イオンが溶け出すようになります。溶け出た金属イオンが唾液や食べ物と一緒に体内に取り込まれると、金属アレルギーを発症する可能性があります。
アレルギー症状は口腔内に出るとは限らず、湿疹やアトピーなどの全身症状として現れたりします。
しかもアレルギーは原因物質を取り除かない限り症状が良くなることはありません。
特に歯科治療で使う金属は合金と呼ばれる、多種の金属が混ざった金属ですから、どの金属に対するアレルギーなのか特定するのが難しいうえ、複数の金属にアレルギー反応を起こす可能性も否定できません。
ガルバニー電流
上下で銀歯を入れている場合、咬み合わせた時に金属同士が触れ合うことで、微弱な電流が流れます。
ガムの銀紙やスプーンを噛んだ時にビリっとくるのと同じ原理です。
この電流はガルバニー電流(ガルバニック電流)と言われます。
この電流が長期にわたり続くと自律神経が誤作動を生じることが分かってきました。
自律神経がバランスを乱してしまうと、イライラ・不眠・肩凝りなどの不調etc.をきたすこともあるので注意が必要です。
【中には使われていない素材の金属材料があります】
何年も前の古い銀歯のなかには、材料にアマルガムを使ったものがあります。アマルガムの成分には水銀が含まれています。
この水銀は水俣病で知られているメチル水銀とは異なる物質ですが、それでも水銀が体内に取り込まれることに関して懸念の声もあり、使用を禁止している国もあります。
日本では今のところ使用禁止にはなっていませんが、2016年からは保険適応から除外されており、歯科治療で使われる機会はほとんど無くなりました。
一度合着すると、長い付き合いになる材料ですから、しっかり納得いく材料を使いたいですね。