2025/11/19 ブログ
顎関節症を放っておくリスクとは?放置が及ぼす影響を解説
こんにちは。仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」です。

顎の関節に違和感を覚えたり、口を開けるときにカクカクと音がしたりすることはありませんか。これらは顎関節症(がくかんせつしょう)と呼ばれる症状の一部です。
一時的なものとして見過ごされがちですが、放置することで症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。顎関節症は、あごの痛みや口の開けづらさといった局所的な問題だけでなく、全身の不調や精神的なストレスにもつながることがあります。
今回は、顎関節症を放置することのリスクや治療法について詳しく解説します。顎関節に違和感がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
顎関節症とは

顎関節症とは、顎の関節やその周辺の筋肉に異常が生じ、痛みや機能障害を引き起こす病気の総称です。代表的な症状には、口を開けるときの痛み、関節音(カクカク・パキパキという音)、口の開けづらさ(開口障害)などがあります。
多くの場合、症状は一時的なもので自然に改善することもありますが、慢性的に続くケースや、放置によって悪化することもあります。顎関節症は、20代〜40代の女性に多く見られますが、年齢や性別にかかわらず誰でも発症する可能性があります。
原因は一つではなく、複数の要因が絡み合って発症することが多いため、早期発見と専門的な対処が求められます。
顎関節症を放置すると

顎関節症を「たいしたことはない」とそのまま放置すると、思わぬ悪影響が生じることがあります。ここでは、顎関節症を放置するリスクについて解説します。
痛みが慢性化する
初期の顎関節症では、顎を動かしたときに軽い痛みを感じる程度ですが、放置すると炎症が悪化し、慢性的な痛みに変わる可能性があります。
慢性化した痛みは日常的にストレスを与え、食事や会話などの動作にも支障をきたすことがあります。また、痛みが長期間続くと、顎関節だけでなく周囲の筋肉や神経にも影響が及び、さらに治療が難しくなることもあるでしょう。
開口障害が進行する
口が開けづらくなる開口障害は、顎関節症の代表的な症状の一つです。
初期の段階では、少し開けづらい程度かもしれませんが、放置すると症状が進行し、指2本分ほどしか口が開かなくなることもあります。そうなると、食事の際に十分に口を開けられず、固形物を噛むことが困難になり、栄養摂取にも支障をきたすこともあるでしょう。
さらに、顎の可動域が狭くなることで、顎の機能自体が衰える可能性もあります。
顎の疲労感や違和感が常態化する
顎関節症をそのままにしておくと、顎に感じる重だるさや疲れ、違和感が次第に日常の一部となり、慢性的に続くようになります。特に長時間の会話や食事のあとに顎が疲れやすいと感じる方は、筋肉や関節に持続的な負担がかかっている証拠です。
これを放っておくと、顎をかばうような無意識の動きが習慣化し、首や肩など別の部位に負担が広がる原因にもなります。
食生活に悪影響を及ぼす
顎関節症が進行すると、硬いものや大きなものを噛むことが難しくなり、食事の際に痛みや不快感を伴うようになります。
その結果、柔らかいものばかり選ぶようになり、食事の栄養バランスが偏ってしまうこともあります。食欲そのものが減退するケースもあり、必要な栄養が摂取できずに体調を崩す恐れもあります。
食事は健康の基本であるため、顎の不調が与える影響は決して軽視できません。
頭痛や肩こりなど全身の不調が現れる
顎関節の不具合は、単なる顎周辺の問題にとどまりません。顎の動きを支える筋肉は、首や肩の筋肉とつながっているため、顎関節症を放置するとその緊張が波及し、肩こりや首こり、さらには頭痛の原因になることがあります。
体の不調が慢性化すると、集中力にも悪影響を及ぼすため、注意が必要です。
精神的ストレスが増す
顎関節症による痛みや違和感が長引くと、それだけで日常生活に大きなストレスとなります。加えて、口の開閉がしづらい、関節音が気になるといった症状が対人関係に不安をもたらし、精神的な負担となることもあります。
慢性的な不快感は気分を沈ませ、イライラや不安感を増幅させる要因にもなり得ます。身体の問題が心のバランスを崩すこともあるため、症状が軽いうちからケアすることが重要です。
顎関節症の原因

顎関節症はさまざまな要因が重なって発症することが多く、その背景には日常生活の癖や身体のバランス、精神的な要素などが関係しています。
噛み合わせの異常
歯の並びや上下の噛み合わせがずれていると、顎に偏った力がかかり続け、顎関節に負担が集中してしまいます。
特に一部の歯だけで噛んでいたり、奥歯が接触していない開咬(かいこう)などの不正咬合は、関節への影響が大きく、顎関節症の発症リスクを高める要因となります。噛み合わせの問題は自分では気づきにくいため、違和感がある場合は歯科医院で相談しましょう。
歯ぎしりや食いしばり
就寝中の歯ぎしりや、日中の無意識の食いしばりは、顎関節や咀嚼筋に強い圧力を加え続ける行為です。
これらの癖が長期間続くと、関節や筋肉に過度のストレスがかかり、炎症や痛みの原因になります。また、歯ぎしりによって歯がすり減ることで噛み合わせが変化し、さらに症状を悪化させることもあります。
顎の使いすぎ
長時間にわたる会話、頻繁なガムの咀嚼、歌唱や大声を出す職業など、日常的に顎を多く使う生活習慣は、顎関節やその周辺の筋肉に疲労を蓄積させます。
こうした使いすぎが続くと、筋肉の緊張が慢性化し、関節の動きに支障が出るようになります。また、痛みや違和感をかばう動作が癖になることで、さらに症状を悪化させる悪循環に陥ることもあります。
ストレスや生活習慣
精神的なストレスは、身体の筋肉を無意識に緊張させます。特にストレスによって歯を食いしばる癖がついてしまうと、関節や筋肉に負担がかかり、顎関節症の引き金となります。
また、睡眠不足や不規則な食事、姿勢の悪さなども関節に負担をかける間接的な要因です。日々の生活リズムを整えることが、顎の健康を保つ鍵となります。
外傷
転倒や交通事故、スポーツ中の打撲など、顔や顎に強い衝撃が加わると、顎関節やその周囲の組織が損傷を受けることがあります。このような外傷がきっかけで、関節円板の位置がずれたり、関節の動きが制限されたりするケースも少なくありません。
外傷を受けた直後は目立った症状が出ないこともありますが、時間が経ってから痛みや開口障害が現れることもあるため、注意が必要です。
顎関節症の治療法

顎関節症の治療は、原因や症状の程度によって異なります。ここでは代表的な治療法をご紹介します。
噛み合わせの調整
顎関節症の大きな原因のひとつである噛み合わせのズレは、歯科的な調整によって改善が期待できます。
具体的には、歯の高さをわずかに削る咬合調整や、被せ物(クラウン)で噛み合わせのバランスを整える方法が用いられます。また、必要に応じて歯列矯正を行い、長期的に安定した噛み合わせを目指すこともあります。
噛み合わせは全身のバランスにも関係しているため、専門的な診断と治療が重要です。
スプリント療法
スプリント療法では、専用のマウスピースを装着して顎の位置を安定させ、関節や筋肉への負担を軽減します。特に睡眠中に歯ぎしりや食いしばりがある人に効果的で、顎関節の安静を保ちながら症状の悪化を防ぎます。
継続的に使用することで、痛みの軽減や可動域の改善が期待されます。
薬物療法
痛みや炎症が強い場合には、薬を使って症状を緩和することがあります。
主に使われるのは、非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩薬で、顎周辺の筋肉の緊張や腫れを抑える効果があります。また、ストレスや精神的な影響が大きい場合には、抗不安薬や軽い抗うつ薬が処方されることもあります。
ただし、薬物療法はあくまで一時的な対応であり、根本原因の改善を並行して行うことが重要です。
理学療法
理学療法では、顎の筋肉や関節の動きを改善するための運動やマッサージ、温熱療法などを行います。
これにより、血流が促進され、筋肉のこわばりや関節の動きが改善されやすくなります。また、専門家の指導のもとで行う顎のストレッチやトレーニングは、関節の柔軟性を高め、症状の再発予防にもつながります。
自宅でのセルフケアとしても取り入れやすい方法のひとつです。
姿勢や生活習慣の改善
悪い姿勢や日常的な癖が顎関節に悪影響を与えているケースは少なくありません。たとえば、長時間のスマートフォン使用や頬杖、うつむいた姿勢は、顎に余計な負担をかけてしまいます。
これらを見直し、正しい姿勢を意識することが症状の改善に大きく役立ちます。また、硬い食べ物を避ける、十分な休息をとるといった生活習慣の見直しも治療の一環として効果的です。
ストレスマネジメント
ストレスは、無意識の食いしばりや歯ぎしりを引き起こす原因となり、顎関節症の悪化につながります。
そのため、心のケアも治療の重要な一部といえます。リラクゼーションや軽い運動、趣味の時間を持つなど、日常のなかでストレスを軽減する工夫を取り入れることが大切です。
また、必要に応じて心理カウンセリングや認知行動療法など、専門的なサポートを受けることも検討されます。
まとめ

顎関節症は一時的な違和感として見過ごされがちですが、放置すると痛みの慢性化や口の開きづらさ、全身の不調といった深刻な問題へと発展する可能性があります。
さらに、食事や会話といった日常生活に支障をきたすだけでなく、精神的なストレスや生活の質の低下にもつながりかねません。
原因は噛み合わせの不良や生活習慣、ストレスなど多岐にわたるため、自分に合った適切な治療やケアが求められます。顎に違和感や痛みがあるときは、早めに歯科や専門医に相談しましょう。
顎関節症の症状にお悩みの方は、仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・根管治療や予防歯科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。診療メニューはこちら、WEB予約・LINE予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。






