2025/10/08 ブログ
骨がないとインプラント治療は受けられない?対処法も解説
こんにちは。仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」です。

インプラント治療は、失った歯を補うための方法として注目されており、見た目や噛む機能を自然に回復できる治療法です。
しかし「インプラントを入れたいけれど、あごの骨が足りないと言われた」という声は少なくありません。実際、インプラントは人工の歯根を骨に埋め込む治療であるため、十分な骨量が必要になります。
もし骨が足りないと診断された場合、そのままでは治療が難しいこともありますが、現代の歯科医療では骨を増やす方法や特別な治療法も用意されています。
今回は、骨が少ないとインプラント治療は受けられないのか、骨が少ないときにはどのような治療が行われるのか解説します。インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
骨がないとインプラント治療は受けられない?

インプラント治療において、インプラントを埋め込むための骨が十分になければ、治療は難しくなります。ここでは、骨が不足する原因とその影響について解説していきます。
骨が不足する主な原因
インプラント治療では、顎の骨の量と質が重要な要素となりますが、次のような理由で骨が不足することがあります。
まず挙げられるのが、顎の骨の吸収です。歯を失った状態を長く放置すると、歯根を通じて伝わっていた噛む力の刺激がなくなり、顎の骨は次第に痩せていきます。
また、歯周病が進行すると、歯を支える骨が破壊され、骨量が大きく減少することがあります。喫煙習慣も血流を悪化させ、骨の再生能力を低下させるため、骨不足の一因となります。
さらに、全身疾患や外傷、加齢なども原因となることがあります。
骨が少ないことで起こる問題点
骨が少ないとインプラントが十分に固定されず、ぐらつきや脱落のリスクが高まります。また、埋入位置や角度に制限が生じ、噛み合わせや見た目に影響が出ることもあります。
さらに、骨の支えが弱い状態では、術後にインプラント周囲炎やさらなる骨吸収が進行し、再治療が必要になる可能性があります。特に前歯部では、骨の高さが足りないことで歯茎のラインが不自然になり、インプラント体の金属部分が露出してくることもあります。
加えて、骨が薄い部位ではインプラントが神経や血管に近づきすぎてしまい、しびれや痛みなどの合併症を引き起こすリスクもあります。
こうした理由から、骨不足は治療計画の選択肢を狭める要因となり、場合によっては入れ歯やブリッジなど、他の治療法を検討する必要が出てきます。
骨の不足を補うための対応

骨が不足している場合でも、近年の歯科医療ではさまざまな対応策が確立されており、治療の可能性を広げることができます。
骨造成
顎の骨が不足している場合には骨造成という外科的処置を行うことで、適応できる可能性が広がります。骨造成にはいくつかの方法があり、患者さんの骨の状態や治療部位に応じて適切な術式が選ばれます。
最も一般的なGBR法(骨誘導再生法)は、骨補填材を入れて特殊な膜で覆い、骨の再生を促します。前歯部など骨が薄い部位に適応となります。
一方、サイナスリフトは、上顎奥歯の骨が不足する場合に、上顎洞の粘膜を持ち上げて人工骨を充填し、骨量を確保する方法です。
より低侵襲な方法としてはソケットリフトがあります。これはインプラントを埋め込む穴から粘膜を押し上げ、骨補填材を注入する方法で、骨の高さがある程度残っている場合に適応となります。
骨の欠損が大きい場合は、患者さん自身の骨を採取して移植する自家骨移植が選択されることもあります。
短いインプラントの使用
骨造成を避けたい場合は、短いインプラント体を用いるショートインプラントという選択肢もあります。この方法は、骨の高さが足りない部位にも対応できます。
加えて、骨の残存部に斜めに埋め込む傾斜埋入法も、骨造成を回避しながら安定した治療結果を得るために活用されています。
骨造成を行う場合の流れと期間

骨造成を行う場合の治療の流れと期間について解説します。
治療の流れ
骨造成は、以下の流れで進められます。
治療前の検査と診断
骨造成を行う前には、まず精密な検査と診断が不可欠です。CTスキャンやレントゲンを用いて、顎の骨の高さ・厚み・密度などを立体的に確認し、治療に必要な骨量があるかどうかを評価します。
加えて、患者さんの全身の健康状態や既往歴、服用中の薬なども丁寧に確認します。年齢や体調、生活習慣などを総合的に考慮しながら、患者さんに合った治療法を選定します。
この診断プロセスを通じて、患者さんは治療の流れやリスク、期待される効果について十分な説明を受けることができ、納得したうえで安心して治療に臨むことが可能になります。
手術
骨造成手術はいくつかのステップに分かれており、患者さんの状態に応じて内容が調整されます。
まず、局所麻酔を行い、痛みを感じにくい状態にしてから、歯茎を丁寧に切開して顎の骨を露出させます。次に、骨が不足している部分に人工骨材や自家骨を移植し、骨の厚みや高さを補います。これにより、しっかり支えるための土台が形成されます。
手術時間は通常1〜2時間程度で、日帰りで行われることが多いです。術後には腫れや痛みが生じることがありますが、これらは医師から処方される鎮痛薬や抗生物質などでコントロール可能です。多くの場合、数日〜1週間ほどで症状は落ち着きます。
治療にかかる期間
骨造成を伴う治療では、治療完了までに一定の時間が必要です。
まず、骨の再生期間として約3〜10ヶ月の待機期間が設けられます。これは、移植した骨材がしっかりと定着し、十分な骨量が確保されるまでの重要なプロセスです。術式の種類や骨の状態によっては、再生に1年以上かかる場合もあります。
骨が安定したことが確認されたあと、インプラント埋入手術が行われます。この段階では、インプラント体を顎の骨に埋め込み、骨との結合を待ちます。結合にはさらに2〜4ヶ月程度の治癒期間が必要です。
このように、骨造成を伴う治療は、完了までにおよそ半年から1年半ほどの期間がかかるのが一般的です。時間はかかりますが、長期的な安定性と自然な見た目を得るためには、慎重な治療計画と段階的な進行が欠かせません。
あごの骨を増やす治療を受けるときの注意点

骨を増やす治療はインプラントの成功率を高める有効な方法ですが、その分通常の治療よりも考慮すべき点が多く存在します。
治療期間が長くなる
GBR法やサイナスリフトなどを行った場合、骨がしっかりと定着するまで時間がかかります。さらに、インプラント埋入後にも骨との結合を待つ時間が加わるため、治療全体が半年〜1年半以上に及ぶこともあります。
感染や合併症のリスクがある
骨移植や人工骨を使う処置は外科的手術を伴うため、術後に感染や腫れ、出血などのリスクがあります。まれに骨がうまく定着しないケースもあるため、術後のセルフケアと定期的な通院が欠かせません。
費用が高くなる
骨造成は保険適用外の自由診療となるため、治療費が通常のインプラント治療より高額になる傾向があります。使用する骨補填材や術式によって費用は大きく異なります。
手術回数・身体的負担の増加
骨造成をインプラント埋入と別日に行う場合、手術回数が増えます。
また、自家骨移植では、骨の採取部位にも手術が必要となり、腫れや痛みなどの身体的負担が増す可能性があります。
まとめ

骨が少ない場合でも、骨造成などの技術を活用することでインプラント治療は可能です。入れ歯に頼らず快適な咀嚼ができるほか、骨吸収の予防や口元の審美性の維持にもつながります
これらの治療は期間が長くなったり費用が高額になったりすることもありますが、適切な対応を行うことで多くの患者さんがインプラントによる快適な生活を取り戻しています。
骨が少ないからといってインプラントを諦める必要はありません。重要なのは、精密な検査で自分の骨の状態を正確に把握し、経験豊富な歯科医師と十分に相談したうえで治療法を選ぶことです。
インプラント治療を検討されている方は、仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・根管治療や予防歯科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。診療メニューはこちら、WEB予約・LINE予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。