2025/07/16 ブログ
歯周組織再生療法ではどのような治療が行われる?メリットや費用も
こんにちは。仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」です。

歯周病は、日本人の成人のほとんどがかかっているとされる恐ろしい病気です。進行すると、歯を支える骨や歯ぐきが失われていき、最終的には歯が抜け落ちる可能性もあります。
歯周病の治療法はいくつかありますが、その中でも歯周組織再生療法は、重度の歯周病から歯を守るための新たな選択肢として注目されています。従来は回復が困難だった歯周組織の再生を目指すもので、失われた骨などを再構築することが可能とされています。
しかし、その治療内容は一般的な歯科治療とは異なり、費用や治療期間、リスクなどもしっかり理解しておく必要があります。
この記事では、歯周組織再生療法とは何か、実際にどのような治療が行われるのか、費用はどのくらいか、どんなことに注意すべきかなどについて詳しく解説します。
目次
歯周組織再生療法とは

歯周組織再生療法とは、歯周病によって破壊された歯の周囲の組織(歯槽骨や歯根膜など)の再生を目的とした歯科治療の一つです。
これらの組織は歯を支える重要な役割を担っており、失われたまま放置すると歯が不安定になり、最終的には抜ける可能性があります。
一般的な歯周病治療では、細菌を除去し炎症を抑えることで病状の進行を食い止めるやり方が中心です。そのため、破壊された組織を元に戻すことはできません。
これに対し、歯周組織再生療法は特殊な薬剤や材料、成長因子などを用いて、組織の再生を促す点が大きな特徴です。治療法にはいくつかの種類があり、患者さまの状態や歯周病の進行度に応じて選択されます。
歯周組織の再生が可能になると、従来であれば抜歯が選択されていたケースでも歯を残すことができるようになります。歯の保存を強く望む患者さまにとっては非常に魅力的な治療法といえるでしょう。
近年では技術の進歩により成功率も向上しており、歯周病治療の選択肢として幅広く採用されつつあります。
歯周組織再生療法で行われる治療

失われた歯周組織の再生を促すために、いくつかの異なる治療法が状況に応じて選ばれます。以下では、代表的な治療方法についてご紹介します。
GTR法
歯周組織再生療法の中でも、広く用いられているのがGTR法(組織誘導再生療法)です。メンブレンと呼ばれる特殊な膜を歯根表面に設置し、歯周組織の再生を促す治療法です。
歯ぐきの細胞が骨の再生を妨げないように仕切りをつくることで、歯槽骨や歯根膜が自然に再生される環境を整えます。
エムドゲイン法
歯周組織の再生を促進するタンパク質を含むゲル状の薬剤を、歯根表面に塗布して再生を促す治療法です。タンパク質が歯の発生初期と似た環境を再現し、歯根膜やセメント質の形成を誘導します。
リグロス法
近年ではリグロスという再生促進薬を使用した治療も普及してきました。リグロスは、日本で開発された塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を有効成分とする医薬品で、歯槽骨の再生を高める効果があります。
歯周ポケットの清掃後、リグロスを直接塗布し、組織の修復を促進します。
歯周組織再生療法のメリット

歯周組織再生療法は、ただ歯周病の進行を止められるだけではなく、失われた歯周組織そのものを再生させられる治療法です。そのため、通常の歯周病治療とは異なるメリットが多くあります。
ここでは、歯周組織再生療法の主なメリットを紹介します。
自分の歯を残せる可能性が高まる
歯周組織再生療法の最大のメリットは、重度の歯周病であっても歯を残せる可能性があることです。歯槽骨や歯根膜を回復できれば、従来であれば抜歯の対象となっていた歯でも安定性を取り戻すことができるのです。
見た目や発音、咀嚼機能を維持しやすい
歯を失うと、噛み合わせや顔の輪郭、発音などに影響が出ます。
しかし、自分の歯を残せると、これらの問題を未然に防げます。インプラントや入れ歯とは異なり、天然歯ならではの噛み心地や感覚を維持できるのも大きな魅力です。
長期的な口腔健康の維持につながる
歯周組織再生療法で一度しっかりと歯周組織を回復できれば、後の歯周病の進行を抑えやすくなります。治療後のメンテナンスを継続すれば、歯周病の再発リスクも低く抑えられ、口腔全体の健康を長期にわたって保つことができます。
インプラント前の処置としても有効
歯を失った部位にインプラントを計画している場合でも、骨が不足していると埋入できないケースがあります。そういった場合に歯周組織再生療法を行って骨を増やすことで、インプラント治療の可能性を広げる効果も期待できます。
歯周組織再生療法を受けるときの注意点

歯周組織再生療法は高い効果が期待できる一方で、すべての患者さまに適応できる治療法ではありません。治療を成功させるためには、術前の診断や治療後のセルフケア、定期的なメンテナンスなどが欠かせません。
また、再生を目的とする特殊な処置であるため、他の歯科治療と比べて注意すべき点がいくつかあります。以下では、歯周組織再生療法を受ける際にあらかじめ理解しておくべきポイントを紹介します。
適応できる症例が限られている
歯周組織再生療法は、歯周病が進行していても組織を再生できる治療法です。
しかし、骨の損失の形状や歯の動揺度によっては、再生が見込めない場合もあります。そのため、事前に精密検査を行い、適応できるかどうか判断する必要があります。
治療後のセルフケアが必要
治療によって組織が再生しても、日々の歯磨きや生活習慣が悪ければ、歯周病が再び進行する恐れがあります。治療後は、丁寧なセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが必要です。これを怠ると、せっかく再生した組織も再び失う可能性があります。
喫煙や全身疾患が治療効果に影響を与える
喫煙者や糖尿病などの持病がある方は治癒力が低下しているため、歯周組織の再生がうまく進まないことがあります。全身の健康状態も含めて歯科医師と相談しながら治療計画を立てることが重要です。
術後に腫れや違和感が出ることがある
歯周組織再生療法は外科手術を伴うため、術後に腫れや軽度の痛み、出血が生じることがあります。一時的なものが多いですが、経過をしっかり観察し、異常があれば早めに歯科医師に相談するようにしましょう。
歯周組織再生療法の費用相場

歯周組織再生療法は、専門的な技術や高価な再生材料を用いる高度な治療であるため、通常の歯周病治療と比べて高額になる傾向があります。また、基本的に保険が適用されない自費診療になります。
一般的には、1本の歯に対して7万円〜15万円程度の費用がかかることが多いです。
ただし、治療法や使用する材料の種類・量、治療の難易度によって、金額は大きく変動します。複数の歯を治療する場合は、その分費用も加算されていきます。治療を検討する際には、あらかじめ費用の目安を理解しておくことが大切です。
リグロスを用いた治療は、一定の条件を満たせば健康保険の適用を受けることができます。例えば、6mm以上の歯周ポケットがあり、特定の骨の欠損がある場合などが該当します。保険が適用される場合は自己負担が約3割になるため、費用を大幅に抑えることが可能です。
まとめ

歯周組織再生療法は、従来の治療では回復が難しかった歯周組織を再生させることができる歯科治療です。歯を残せる可能性を高め、噛む力や見た目の美しさを保ちながら、口腔の健康を長期的に維持することが期待されます。
ただし、すべての症例で適応できるわけではなく、治療後のセルフケアやメンテナンスも極めて重要です。また、費用が高額になる場合も多いため、治療の必要性や費用対効果をしっかりと確認したうえで検討することが大切です。
歯周組織再生療法を検討されている方は、仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・根管治療や予防歯科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。診療メニューはこちら、WEB予約・LINE予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。