2024/08/03 ブログ
歯科治療中に口が開きにくい方へ
歯科治療やクリーニングを受けている時は長い時間ずっとお口を開けている必要があるので、途中から辛く感じたり、顎や筋肉が痛くなったりすることがありませんか?
なかには、もともと口を大きく開けることが苦手な方、鼻呼吸が苦手な方もいらっしゃいます。長時間お水を口に含むのが苦手な方や、嘔吐反射が強い方などもいらっしゃいます。
そんな時はどうしたらいいのでしょうか?
目次
なぜつらいの?
口を開けたり閉じたりする筋肉の力量が関係します
顔表面の筋肉は表情を作るのに働く筋肉なので「表情筋」と呼ばれます。口の周りの表情筋は唇を動かすことがメインですので、口を開閉する時に働くのは表情筋だけではありません。
ヒトは通常、口を閉じる際には閉口筋と呼ばれる筋肉のグループが活躍します。閉口筋は単に口を閉じるだけでなく、食べものを咬むときにも使う筋肉でもあることから別名「咀嚼筋」とも呼ばれています。これには4種類の筋肉(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)が関係しています。
一方で、口を開ける際には開口筋と呼ばれる筋肉の仲間が関係します。口を開けるときは下顎を下方に引っ張るように動かすので、主に下顎から首にかけての筋肉群が働きます。
ヒトは普段から口を閉じていることが多いので閉口筋が働くことには慣れていますが、長時間にわたり口を開けていることは、不慣れな開口筋に負荷を掛け続けていることと同じなので、筋トレをしているのと似た感覚と言えるでしょう。
筋肉の筋力が少ない場合、治療開始時点では大きく開けられても、疲れてくると徐々に開口量が少なくなってきます。
顎関節症の方も開きにくいことがあります
顎関節症を持つ方の場合、大きく開けようとしても顎関節がロックされてしまうので口が開きにくくなります。この場合、治療開始の時点で口が開かないので無理に開けると顎関節が脱臼したり、ロックされ動かなくなることがあるので注意が必要です。
鼻呼吸が苦手な方もいます
もともと耳鼻科系疾患をお持ちの方は鼻詰まりのため普段から口呼吸をしがちです。歯科治療は長時間の開口に加えて、水を使った処置も多いことから、口呼吸が出来ない時間がどうしても長くなってしまいます。これは窒息に近い状態になりますので開口することが辛くなります。
どうしたらいいの?
休みながら処置を進める
歯科治療のなかには、つらいのをギリギリまで我慢し過ぎて途中で開けられなくなった場合、最初からやり直さなくてはならない処置が少なくありません。そうなると患者さんの負担は2倍になってしまいます。事前に伝えてもらうことで、術者は様子を見ながら休憩を挟んだ処置を行うことが出来ます。辛くなったときは挙手するなどして教えてもらうと、その人のペースを掴みやすかったり合わせやすくなります。
開口器・バイトブロックといった補助器具を併用する
処置する間、咬んでもらう器具のことで、ストッパーの役割をしてくれる器具です。開口量が少ないと器具が奥まで届かないので、余計に処置時間がかかったり虫歯をすべて取り切れなかったり、ほかにも粘膜を傷つけたりと、さまざまな懸念があります。補助器具を併用することで患者さんも辛さが軽減し楽に口を開いていられますし、術者側も長時間の処置、奥歯の処置がしやすくなります。
一時的な開きにくさならば治療時間や回数、使用器具を変更する
休憩を挟みながら、補助器具を使いながら…それでも開き難さが解消しない場合は、後日改めて治療を行うこともあります。歯科治療は0.1ミリ単位でのシビアな処置が多くあります。一度にすべてを進めるのではなく慎重に進めていく必要があります。
以上のことからも分かるように、口の開きにくさは人それぞれです。不安に感じたり伝えにくさを感じている方は、思い切ってスタッフに伝えてみてくださいね。