2024/06/01 ブログ
上顎洞炎と歯の痛みについて
なんとなく上の歯が重苦しい、痛みを感じるような…でもどの歯なのか特定できない…。最近頭も痛いような…。
こんな時はありませんか?
それはもしかしたら「上顎洞炎」かもしれません。
上顎洞炎はときに虫歯や歯周病が原因で生じることもあります。
目次
上顎洞炎とは
頭蓋骨は何個かの空洞があり合わせて「副鼻腔」という総称で呼ばれます。
副鼻腔のなかでも上顎洞は、鼻の両脇・頬骨の奥・眼下に位置する大きな空洞部分を指しています。
上顎洞に炎症が生じると、上顎洞内面の粘膜が腫れたり、空洞内に膿が溜まったりします。
これが上顎洞炎というもので、一般的には「蓄膿症」と呼ばれたりもしますので、蓄膿症の方がイメージが付きやすいかもしれません。
上顎洞炎の症状
鼻詰まり
上顎洞炎で膿が溜まり、さらに上顎洞内の粘膜が肥厚すると、空気を吸い込む空間・鼻腔が狭くなってしまいます。
そのため呼吸しにくくなり鼻詰まりを感じます。
頭痛
上顎洞は頭蓋骨のほぼ中央に位置する大きな空洞です。
この部分に膿が溜まると四方の神経や血管を圧迫してしまい頭痛を生じてしまいます。
さらに溜まった膿により頭蓋骨の内圧もあがるため頭痛を引き起こしてしまうのです。
頬骨・目の奥の違和感
先に述べたように、上顎洞は胸骨の奥・眼下に広がる空間ですので、この空間に膿が溜まると圧がかかり痛みや違和感を生じやすくなります。
歯の痛み
上顎の歯(特に臼歯部)は歯根と上顎洞との距離が数mmと非常に近接しています。
上顎歯の神経は上顎洞と繋がっているため、上顎洞炎になると歯の神経が圧迫されるようになりますから歯が痛くなります。
場合によっては強い痛みになるため歯がズキズキ痛んでいるように感じます。
咬合痛・歯根の痛み
上顎洞炎は上顎洞底部の粘膜が炎症を起こし肥厚します。
それに伴い、近接する上顎臼歯部の歯根膜も関連して反応してしまいます。
もともと咬合圧に対するクッション役となっている歯根膜が、上顎洞の炎症と一緒に反応するので、噛んだ時の痛みや違和感として脳に伝わるのです。
また歯の根元付近の歯肉を押した際に圧迫感や痛み、違和感を感じるのもこのためです。
口臭
上顎洞炎は、上顎洞に膿が溜まります。この膿が鼻の奥のニオイや口臭として感じてしまうのです。
上顎洞炎の主な原因
鼻炎が原因
花粉症などのアレルギー性鼻炎、インフルエンザ、風邪などでの鼻詰まりが原因で上顎洞炎を発症します。
上顎洞炎の約80%は鼻疾患が原因とも言われています。
歯が原因
残りの20パーセントが歯科由来といわれており、虫歯や歯周病が原因で上顎洞炎を生じることもあります。
上顎洞炎の診断と治療
歯の痛みとして歯科受診される方も多く、上顎洞炎を疑う場合はパノラマエックス線撮影やCT撮影をして診断します。
撮影をすることで鼻疾患が原因なのか虫歯が原因なのかを詳しく診査することが出来るのです。
鼻疾患が原因で起きた上顎洞炎の場合は抗生物質の服用により炎症を抑えていきます。
数週間~1か月程度で症状が緩和してくるとあわせて歯の痛みや違和感も同時に消失していきます。
虫歯や歯周病が原因の上顎洞炎の場合は、原因となる歯を特定し、急性期は抗生物質の服用第一選択とし、それと並行して歯科治療をスタートします。
多くの場合、神経の処置や歯周病処置を行うことになりますが、重症でなければ抜歯はせず該当歯を残すように処置を進めていきます。
上顎洞炎が重症化すると、顔(特に目の下あたり)が腫れるほど膿が溜まったりもします。
重症化する場合は入院となり、上顎洞に穴を開けて排膿させ洗浄するといった外科処置が選択されることもあります。