2024/01/06 ブログ
災害時の口腔管理
このたびの令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方、そのご家族および関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
また、被災者の救済、被災地の復興支援に尽力されているすべての方々に深く敬意を表します。
皆様の安全と一日も早い復興をお祈り申し上げます。
我々も東日本大震災(2011.3.11)を経験したからこそ
今一度、災害時における口腔ケアについて見直してみました。
災害時の感染リスク
災害発生時、被災者は極度の緊張と疲労に長時間耐え続けなければなりません。
そのため体力的にも精神的にも限界のなか、免疫力が低下し、風邪・肺炎・インフルエンザなどの感染症に罹患するリスクが非常に高くなります。
さらに水の確保が難しくなり飲料水の確保が優先されますので、口腔ケアなどの水の使用は後回しにされる傾向があります。
救援物資となる食料は菓子パンや菓子類が多くなりますので、カリエスリスクが高くなるのも災害時の特徴の一つと言えるでしょう。
【大人】
大人の方は歯磨きが後回しになってしまうことで虫歯リスクに加え歯周病が進行しやすくなります。歯周病の悪化は糖尿病などの全身疾患に影響を及ぼす可能性が高くなります。
【こども】
小さなお子さんは菓子パンなどで虫歯になるリスクが高まり、乳歯は永久歯より虫歯の進行スピードが速いので一気に虫歯が進行してしまいます。
【高齢者】
高齢者の方は義歯の紛失や汚れた義歯の使用が続き、体調不良などから誤嚥性肺炎に罹患するリスクが高まります。東日本大震災や阪神淡路大震災など各地の震災関連死の死因の3割近くが肺炎を含む呼吸器系疾患であるといったデータもあります。
改めて口腔内を清潔に保つことは、被災後の体調管理に大きく関係していることが分かります。
オーラルケア方法
【水がない場合】
・ガーゼやハンカチ、ティッシュを指に巻き付け、歯の表面の汚れを拭き取ります。
・唾液量を増やすことも大切です。頬のマッサージや唾液腺のマッサージおこない、唾液の分泌を増やしましょう。キシリトールのガムを噛んでも良いでしょう。
・水の代わりにマウスウォッシュを使って口をゆすぐと菌の繁殖も抑えることができます。
・お茶がある場合は、水の代わりに少量のお茶で洗口することもできます。
・義歯もガーゼやハンカチ、ティッシュなどで汚れを拭き取ります。部分入れ歯は金具に汚れが溜まるのでブラシや綿棒でキレイにします。
【水がある場合】
・災害時に使える水の量は限られています。歯磨剤を使うときはいつもより少なめに使うと水の量を減らすことができます。歯磨剤が口腔内に残ったままだと口腔乾燥を引き起こしてしまいます。
・ブラッシング後は洗口前にティッシュなどで、大まかに汚れを拭き取っておくと水の量を減らすことができます。
・使った歯ブラシもティッシュなどで汚れを拭き取ってから水で洗うと効率的です。
・洗口時は一度のうがいで完了しようとせず、コップの水を2,3回に分けて少量ずつ洗口すると、口腔内はよりキレイになります。
防災備蓄品リスト
・歯磨きトラベルセットは各自個別のケースのものを用意しましょう。
・キシリトールガムは唾液の分泌を促進させるほか、噛むことでストレスを緩和する効果も期待できます。
・マウスウォッシュがあると水が無くても口をゆすぐことが出来ます。ノンアルコールや低刺激性のものを選ぶと良いでしょう。
・義歯セット(義歯ケース・義歯ブラシ)は100円ショップなどでも購入出来るので備えておくと便利です。
・歯磨きシートは、歯を磨けない時や水がない場面で歯や義歯の汚れを拭き取ることができます。
事前に備え、早めの対策をしておきましょう。