2023/09/04 ブログ
白い被せ物を選択する時のポイント
前回は保険適応の銀歯について詳しくお話ししました。
最近は以前にも増して審美性に関心が高まり、白い被せ物を選択する方が多くなっています。
白い被せ物には何種類かあり、素材の種類を選択することができ、保険適応範囲内で白い被せ物を被せられ場合もあります。
ただ保険診療と自由診療では、もちろん取り扱う素材が全く異なるため、予後に明確な差があるのも事実です。
今回は当院で取り扱っている保険診療と自由診療での白い被せ物の違いについてお話していきましょう。
目次
保険適応で被せる白いもの
お口の中の状態、残存歯の本数、被せる歯の種類、処置の程度などによっては保険適応内でも白い被せ物を入れることが出来ます。
前歯部に被せ物をする場合
前歯部(上下犬歯間6本ずつ)に被せ物をする場合、当院では表面が歯冠色に近いプラスチック、裏面が金属で出来ている被せ物を取り扱っています。
硬質レジン前装冠と言われるもので、裏側は金属ですので、前回お話しした銀歯の特徴に準じています。
表面の白い素材はプラスチックですので経年劣化が比較的早く起こります。
臼歯部に被せ物をする場合
臼歯部に被せ物をする場合、素材は強化プラスチックの一種で、簡単に言うとプラスチックに少量のセラミック粉末を混ぜたものが使用されます。
主成分はプラスチックですので、特徴はプラスチックの詰め物と類似しています。
見た目は銀歯より優れますが、強度や耐久性に関しては銀歯やセラミックに比べ明確に劣りますので、寿命もそこまで長いわけではありません。
この被せ物が出来る臼歯は、小臼歯部および第一大臼歯で認められています。
ですが、第一大臼歯に関しては残存歯の状態により被せられない場合もありますので注意が必要です。
金属アレルギーの方は、第二大臼歯も保険適応範囲内で白く被せることが出来ますが、この場合、医師の診断書が必要になります。
自由診療で被せる白いもの
自由診療で被せる白い素材は主にセラミックです。
保険適応が無いので金額に驚く方も少なくありませんが、それに見合うだけの非常に優れた素材です。
セラミックのメリット
1.審美性に優れる
歯の形態はもちろん、透明度や艶の程度、白色そのものの色調を微調整出来るので希望の色にカスタマイズすることが出来ます。
セラミックは陶材(お茶碗の素材)ですので表面は着色するものの、セラミック自体は変色することがありません。
茶渋などの着色はクリーニングやメンテナンスを定期的に行うことで白さを長持ちさせることが出来ます。
それに比べてプラスチックは経年劣化が激しく、劣化とともに変色しやすく歯質との差が目立ってきます。
また銀歯は歯肉の黒色変化が生じにくいため審美性に優れていると言えます。
2.長持ちしやすい
銀歯やプラスチックに比べ、表面が滑沢なので汚れにくく劣化しにくい素材です。
そのため虫歯になりにくい優れた材料です。
また、セラミックを接着する接着剤はレジンセメントといわれる材料を使用します。
これは歯と被せ物の隙間を生じにくくする特徴があるので被せ物内の劣化を遅くすることが出来ます。
二次カリエスで何度も治療するとその都度、歯質が削られるため歯自体の寿命が短くなりますから、一度被せるならしっかり長持ちする補綴物を選びたいですよね。
3.金属アレルギーの心配がない
セラミックは生体親和性がとても高く、人工股関節などにも使われている素材です。
非金属のため金属アレルギーの心配がありません。
魅力的なセラミックですが、デメリットも。もちろんメリットデメリット両者を知ったうえで素材を選択する必要があります。
セラミックのデメリット
1.割れることがある
セラミックは陶材(お茶碗の素材)ですので、硬さはありますが「脆さ」があります。
脆さがあるので、強い衝撃で欠けたり割れたりすることがあります。
そのため、咬む力が極端に強い方や、歯軋りが強い方などは注意が必要
その場合、マウスピースの併用が必要になる場合もあります。
2.保険治療では適応されない
セラミック治療は、保険適応されていませんので自由診療となります。
保険範囲で処置が出来る銀歯etc.と比較すると金額の差に驚く方も少なくありません。
3.一生モノではない
高価な素材だからと言って、一生使えると保証されるものではありません。
外れたり欠けたりする可能性もありますし、メンテナンスを怠ると更に寿命が短くなることもあります。
保険診療・自由診療を問わず、納得のいく治療を進めていくのが望ましいです。
少しでも気になることがあれば、お気軽に相談してくださいね。