2023/06/09 ブログ
義歯のお手入れ
歯に歯垢(プラーク)や歯石が付着するのと同じように、取り外して使う義歯(入れ歯)にも歯垢や歯石が付着します。
間違った方法で手入れしたり、手入れをしないまま義歯を使っていると、入れ歯そのものが細菌の温床になってしまうため、残存歯が虫歯になったり歯周病が悪化したりします。
また汚れたままの義歯を使い続けていると、増殖した細菌が体内に入ることで誤嚥性肺炎や心臓病といった全身疾患のリスクを高めてしまうことにもなります。
「普段のお手入れは入れ歯洗浄剤に漬けておくだけ」という方もなかにはいらっしゃるかもしれません。
しかし、一度義歯に付着した歯垢や汚れは、ブラシ等で物理的にこすり落とさない限りキレイになることはありません。より自然な歯並びに見せるような作りになっているので、歯間部やクラスプ(金具)部分は複雑な形態をしています。
毎食後の軽い洗浄だけではなく、1日1回は義歯を外し、ブラシ等を使って汚れをしっかり落とす習慣を身につけましょう。
義歯のケア
ブラシで擦って洗う
1日1回は義歯を外し、流水下でブラシを使って擦り洗いをしましょう。
義歯を装着したまま歯磨きをしないようにしましょう。装着したまま歯磨きをすると義歯の裏側や、義歯に隣接した残存歯が磨けません。
義歯の洗浄は専用ブラシ・専用洗剤の使用が理想ですが、手元に無い場合はお持ちの歯ブラシや食器用洗剤を使用しましょう。
ここで注意したいことは歯磨剤を使わないということです。これは歯磨剤に入っている研磨剤が義歯表面に細かな傷をつけるため、さらに歯垢や歯石が付着しやすくなるからです。
歯の表面の凹凸や、粘膜と接着する面、クラスプ(金具)部分は特に念入りにブラシでキレイに洗いましょう。
入れ歯洗浄剤を過信しない
入れ歯洗浄剤の目的は、ブラシでキレイにした後に仕上げとして使用するものです。清涼感が得られるのでスッキリした気分になりますが、十分な洗浄効果は得られません。
また義歯洗浄剤を使用する際は長時間の使用を避けましょう。漬けっ放しにすると、義歯の劣化が進んでしまうためです。
気を付けたいこととして、口腔内に装着する前には、流水で洗浄剤をよく洗い流してから装着しましょう。洗浄剤が残ったままにすると粘膜が荒れたりすることがあります。
義歯の保管
基本的に、就寝中は義歯を外しておきます。これは口腔内で1日中義歯と接着していた粘膜面を、夜の間に休めてあげるためです。
寝る前に義歯を外し、丁寧に洗う習慣を身に着けると良いでしょう。
キレイになった義歯は、紛失や破損を防ぐためにも蓋付きの専用ケースに保管しましょう。
複数の義歯を所有している場合は、上下セットが変わると咬み合わせが合わない義歯になります。必ず取違いがないか確認して使いましょう。
また施設などで複数の義歯を取り扱う場合も感染や取り違いを防ぐため個別に管理しましょう。
義歯は毎日使うものです。
自分に合った義歯をさらに長持ちさせるためにも適切に快適に使いたいですね。