2025/08/06 ブログ
歯ぎしりが与えるセラミックの歯への影響と対処法
こんにちは。仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」です。

セラミック治療を受けたあと「歯ぎしりをするからすぐに割れたり欠けたりしないか心配」と不安を抱える方は少なくありません。
この記事では、歯ぎしりがセラミックの歯に与える具体的な影響やその発生原因、セラミックの歯を守るための効果的な対処法について解説します。セラミックの歯を長持ちさせられるよう、参考にしてください。
目次
歯ぎしりとは

歯ぎしりとは、睡眠中や無意識のうちに上下の歯を強く接触させたり、擦り合わせたりする口腔習癖の一つです。この行動は無意識に行われるため、ご自身では気づきにくく、ご家族から指摘されて初めて知る方も少なくありません。
歯ぎしりの種類
歯ぎしりは、以下の3つのタイプに分類されます。それぞれのタイプによって、歯や顎関節にかかる負担の性質が異なります。
グラインディング
グラインディングは、上下の歯を横にギシギシと擦り合わせるタイプの歯ぎしりです。一般的に歯ぎしりと聞いてイメージされるのは、このグラインディングであることが多いでしょう。就寝中に音を発することがあり、家族から指摘されて気づくケースがほとんどです。
グラインディングは、歯がすり減って平らになったり、エナメル質が薄くなったりする原因となることがあります。特に、奥歯に強い横方向の力が加わるため、詰め物や被せ物が破損したり、土台となる歯そのものにヒビが入ったりするリスクも高まります。
クレンチング
クレンチングは、上下の歯を強く噛みしめるタイプの歯ぎしりです。グラインディングのように歯を擦り合わせる動作がないため、音が出ないことが多く、ご自身はもちろん、周囲の人にも気づかれにくいのが特徴です。
クレンチングは、特に奥歯に垂直方向の非常に強い圧力がかかるため、歯の根元に力が集中し、歯の破折や歯根の損傷を引き起こす可能性があります。また、顎の筋肉が常に緊張状態に置かれるため、顎関節症や頭痛、肩こりなどの症状を引き起こすこともあります。
日中の集中時やストレスを感じた時に無意識に食いしばっていることもあり、習慣化している場合は注意が必要です。
タッピング
タッピングは、上下の歯をカチカチと小刻みに叩き合わせるタイプの歯ぎしりです。他の2つのタイプに比べて発生頻度は低いですが、特定の歯に繰り返し衝撃が加わることで、その歯に負担がかかります。
例えば、詰め物や被せ物が外れやすくなったり、歯の表面に微細なヒビが入ったりする原因となる可能性もあります。このタイプも音が小さく、自覚しにくいです。
歯ぎしりの自覚症状と影響
歯ぎしりは無意識に行われるため、ご自身でその有無を判断するのは難しい場合があります。以下のような症状がある場合、歯ぎしりをしている可能性があります。
- 朝起きた時に顎がだるい、痛い
- 歯の表面のエナメル質が削れて歯がしみる
- 歯が欠ける、割れる
- 歯がすり減る
- 頬の内側に白い線がある
- 舌の縁に歯型がついている
- 頭痛や肩こりが頻繁に起こる
これらの症状が見られる場合は、歯科医院で歯ぎしりの有無やその程度を確認してもらいましょう。
歯ぎしりが与えるセラミックの歯への影響

セラミック素材は硬度が高いため、日常的な使用では問題が起きにくいものの、極端な力や衝撃が加わると欠けたり割れたりすることがあります。特に、歯ぎしりのような継続的かつ強い力は、次のような影響を与える可能性があるため注意が必要です。
破損のリスクが高まる
歯を横に擦り合わせたり、垂直方向の強い力がセラミックの歯に繰り返し加わったりすると、小さな欠けが生じることがあります。表面に目に見えないほどの微細なヒビが入るケースもあります。
これらの小さな損傷は、時間の経過とともに進行し、最終的には大きな破損につながる可能性があります。特に、セラミックの薄い部分や、形が複雑な部分、噛み合う相手の歯(対合歯)と強く接触する部分は破損のリスクが高まります。
欠けや割れは見た目が損なわれるだけでなく、その部分から細菌が侵入しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性もあります。また、セラミック歯は接着剤で歯に固定されますが、過度な力は接着剤を劣化させ、セラミック歯が外れる原因にもなります。
表面が摩耗する
セラミックは非常に硬い素材ですが、長期間にわたる歯ぎしりによって、その表面が少しずつ摩耗することがあります。特に、対合歯との摩擦が繰り返されることで、セラミックの艶が失われたり、表面がザラザラになったりする可能性があります。
これは、セラミックの審美性を損なうだけでなく、その耐久性にも影響を与える可能性があり、摩耗した部分からさらに欠けが生じやすくなることも考えられます。
天然歯の損傷リスク
セラミックの歯は、基本的に天然歯を削ってその上に被せるように装着されます。歯ぎしりによる過度な力は、セラミックの歯を介して、その下の土台となっている天然歯に直接伝わります。これにより、土台の天然歯が破折したり、ヒビが入ったりするリスクが高まります。
特に、根管治療を施した歯は、神経が除去されているため痛みを感じにくく、知らず知らずのうちに深刻なダメージを受けることがあります。また、セラミックの歯が破損しなくても、その強い力によって対合歯となる健康な天然歯が削れたり、すり減ったりする可能性もあります。
これは、噛み合わせのバランスを崩し、さらなる問題を引き起こす原因となります。
歯ぎしりが起こる原因

歯ぎしりは一つの原因で発生するのではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。その原因を理解することは、適切な対処法を見つける上で非常に重要です。
ストレスや生活習慣
現代社会において、ストレスは歯ぎしりの最も一般的な原因の一つとされています。仕事や人間関係、日常生活における様々な精神的なプレッシャーは、心身に大きな影響を与え、その影響として歯ぎしりという形で現れることがあります。
また、日中の食いしばりや、スマートフォンの長時間使用による姿勢の乱れなども、顎の筋肉に無意識の緊張をもたらし、歯ぎしりの一因になることがあります。
噛み合わせの悪さ
以前治療した詰め物や被せ物の高さが合っていなかったり、形態が適切でなかったりすると、特定の歯に過剰な力が集中し、歯ぎしりを誘発する原因となることがあります。高さや噛み合わせの違和感を、無意識のうちに解消しようと歯ぎしりをすることがあるためです。
また、詰め物や被せ物の不適合は、顎の関節にも負担をかけ、顎関節症の原因となったり悪化させたりする可能性もあります。
歯並びの悪さ
歯並びが悪い場合、上下の歯が均等に接触せず、特定の歯にだけ負担がかかることがあり、これも歯ぎしりの引き金となることがあります。例えば、突出した歯や傾斜した歯があると、その部分で強い摩擦や食いしばりが生じやすくなります。
このような不均等な噛み合わせは、顎の筋肉の不均衡な発達を招き、歯ぎしりを悪化させる要因となり得ます。
歯ぎしりによる力からセラミックの歯を守るには

大切なセラミック歯を守るためには、歯ぎしりの影響を抑える対策が必要です。
就寝時にナイトガードを使用する
歯ぎしりからセラミックを守るために最も効果的とされるのが、ナイトガードの使用です。ナイトガードは、就寝中に装着する透明なマウスピースです。
歯科医院で患者さま一人ひとりの歯型に合わせて作製されるため、口の中にぴったりフィットし、快適に使用できます。ナイトガードを装着することで、歯ぎしりによる強い力が直接歯に伝わるのを防ぎ、分散させる役割を果たします。
また、歯のすり減りを防ぎ、顎関節への負担を和らげる効果も期待できます。
ストレスの管理と生活習慣の見直し
日常生活の中でストレスを溜め込みすぎない工夫も大切です。運動や趣味、十分な睡眠を取り入れることで、自律神経のバランスを整えることが期待できます。
噛み合わせの調整や矯正治療
重度の歯並びの乱れや、既存の被せ物の不適合が歯ぎしりの主要な原因となっている場合は、矯正治療や被せ物の再治療が必要となることもあります。これらで歯並びを整え、上下の歯が適切に噛み合うようにすることで、歯ぎしりの原因そのものを解消できる可能性があります。
また、長期間使用している被せ物が劣化していたり、不適合が生じていたりする場合は、再治療することでより安定した噛み合わせを実現できます。
定期的な歯科受診でのチェック
セラミック歯を長く使っていると、わずかに変化していくことがあります。また、セラミックの状態が変わっていなくても、口内環境は加齢とともに変化していきます。つまり、治療当初は口内にしっかりと合っていても、時間が経つと噛み合わせが悪くなることがあるのです。
そのため、歯ぎしりの有無や噛み合わせの変化を定期的にチェックしてもらうことで、トラブルを未然に防げます。
まとめ

歯ぎしりは無意識に行われることが多いため、自分では気づきにくく、気づいた時にはすでにセラミック歯にダメージが及んでいる可能性があります。
歯ぎしりの原因やメカニズムを理解し、ナイトガードの活用やストレス対策、噛み合わせの見直しなどを行えば、大切なセラミック歯を長持ちさせることは十分に可能です。歯ぎしりがあるから不安と感じている方は、まずは歯科医院で相談してみてください。
セラミック治療を検討されている方は、仙台市宮城野区「福田町駅」より徒歩4分にある歯医者「色川歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、虫歯・根管治療や予防歯科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。診療メニューはこちら、WEB予約・LINE予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。